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武田双雲インタビュー

■プロフィール

1975年、熊本県生まれ。
3歳より書道家である母、武田双葉に師事し、書の道を歩む。大学卒業後、NTT勤務を経て書道家に。音楽家や彫刻家、など様々なアーティストとのコラボレーション、斬新な個展など、独自の創作活動で注目を集める。


■【前編】作品が出来上がるまで

・双雲氏の作品が出来上がる » こちら
・こうして、「人生」は生まれた » こちら

» 後編「書のある生活」はこちら

[前編]作品が出来上がるまで

—双雲さんの作品から、元気を貰う人がたくさんいます。どんなときに作品が思い浮かぶのですか?

僕の場合は、先に伝えたいことが出てくることが多いです。

しかしその伝えたい内容というものが、とても曖昧だったり、
矛盾をいたるところにはらんでいたりする
ので、そのモヤモヤを
何とか具現化したくて、言葉にしたり書にしたりします。

しかし最初からイメージどおりの書が書けることはほとんどなくて、
書きながら、自分のイメージしたものに近づけていく感じです。

散歩してたり、お風呂に入っている時、つまり、リラックスしている時に、
よくポッと頭(心?)の中にイメージが沸きあがってくることが多いです。

浮かび上がったイメージを書に落とし込むまでに時間がすごくかかってしまいます。

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—「人生」は一目見たら忘れられない作品です。出来上がるまでのエピソードを教えてください。

2003年に全く納得できる作品が生まれず苦しんでいた時に、
近くの海(辻堂海岸)に散歩に出かけた時のことです。

どんよりとしたすごく厚い灰色の雲が空一面を覆っていました。

誰1人もいなくて僕1人で波打ち際にボーっと立っていたら、
少し怖い気分になってきました。そして10分くらい経ったくらいでしょうか。

そこに一筋の光が海面に突き刺さったのです。

体が動かないくらいの感動の光景でした。

人生

この感動を書にできないものかと、走ってアトリエに戻り必死で書きました。

なぜかその時選んだ漢字が「生」でした。

しかし、全く表現ができません

ふと一枚の半紙にたくさん書きなぐった「生」を見た時に、
墨以外の余白の白があの時の光に見えたのです。
すると墨部分が空を覆っていたあの厚い雲に見えてきました。

実はその頃、自分の中にある色んな側面が矛盾を起こしていました。
どれが本当の自分がわからなくなって前に進めなくなっていました。

この偶然生まれた書を見てると、
なんだかわかりませんが勇気をもらえるような気がしたのです。

そうして生まれたのが「人生」です。
黒い部分はすべて「生」と書かれています

書きながら思いました。
色んな自分を一つに絞ろうとしていたことが間違いで、
様々な自分が混ざってこそ自分だと

この作品は、偶然生まれた書に
自分が教えられ、気付かされたという不思議な作品です。
ですから自分で書いたというより、誰かに書かされたと思っています。

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