2009 : クシャクシーとミョーさん / 紙、ペン、色鉛筆、ガッシュ、マニキュア液
( Kusyakushii-to-myoosan / Ink and colorpencil and gouache and enamel on paper )
300 × 300 mm
作品の額装は、小林額縁製作所において統一させて頂いております。
白マットに、上品な木地。シンプルで
小林額縁らしい美しい額縁に仕上がっております。
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垂谷知明がペンを持つその指先から、するすると線が生まれ伸びてゆく。
交わり、からまり、転がりながら、その線はみるみると見たこともない生き物たちを生み出し、
彼らは勝手気ままにしゃべりだす。増殖する点と線から生まれる不思議なかたちは、
それ自身がひとつの生命体のようでもあり、たくさんの命の集合体のようでもある。
近作の画面に現れる小さな粒々のひとつひとつにさえ、 垂谷は命を込めて描いているのだろう。
アメーバならばその細胞のサイズで、遠く宇宙から俯瞰するならそのスケールで、
垂谷は常に等身大の視線を投げかける。顔を寄せて、目を凝らして見てほしい。
私と似た、あるいは私とは違うその生き物たちが生きる世界に、
私自身も埋もれていくようなその心地よさ。
彼らから見れば私も不思議なかたちで、ただ、等しくイキテイルモノだ。
たとえこの世界が見知らぬものたちで溢れかえってしまったとしても、
互いの命を見つめて呼吸するなら、心楽しく、しあわせな気分だ。
小口斉子 (大阪芸術大学博物館 学芸員)