1656g。フィギュア83体分の重さ。
私たちは、市場経済の特徴である希少性という憑依観念につきまとわれている。
生産すればするほど豊富なものの真只中でさえ、豊かさから確実に遠のいていく。
そんないたちごっこの行き着く先は虚無でしかないのかもしれない。
フィギュアを市場経済の典型的な例であると捉え、素材として使用した。
市場で売られているフィギュアには「何のアニメ」「人気のキャラ」「限定品」「シークレット」「完成度」「ポージング」など様々な情報があり、いわばフィギュアは情報の塊の様なものだ。
この情報がフィギュアの値段を決め、市場で売られているところを見ると、もはやフィギュアの価値はこの情報なのではないかとさえ思えてくる。
逆に、フィギュアの情報が劣化すれば自然とそのフィギュア自体の価値も下がってくる。
そんなフィギュアという情報の産物を今一度実態としてとらえ、フィギュアの本来もっている色や素材、重さとして再構築することで、情報としての囚われた存在から解き放ちたい。