「彼方」という言葉は
遠くはなれたほう、あちらのほう、あなた…
といった意味があります。
自分から距離のある離れた場所や方向を指します。
私が今ここで、この瞬間に対峙している存在全ても、
過去と化すことによって「彼方」という言葉に含まれていくような気がしてなりません。
昨日の出来事も、昨日出会った人たちも、
東の空から始まる朝によって、夜の闇と共に一掃されてしまう。
やがては私自身の記憶からも、消えてしまうのだろうか…?
忘れていく、忘れられていく現実に無情さを思い、
心によぎる悔恨を、決して否定することはできないのだが、
最後には、新しく始まる世界を選択できる人間でありたいし、
私は絵の中に、悲しみを越えた光の風景を表現したいと思っています。