20代の頃、オルデンバーグらとともにハプニング(現在のパフォーマンス)を行なって注目され、ポップ・アートの代表的作家の一人として位置づけられているジム・ダインだが、彼のドローイングの力量は、おそらくナンバーワンだろう。ロンドン、ベルリンとヨーロッパでの生活を経験し、古典絵画に親しんだからかもしれない。このリトグラフのもとになったドローイングは1980年にエルサレムに滞在していたときに作られた。1982年にこの主題による最初のリトグラフ(No.1)が制作され、同年木版画(No.2、No.3)も手がけている。何気ない植木鉢の植物をこれほどダイナミックに表現しえた画家がかつて存在しただろうか。縦1メートル近いサイズは、改めて絵画の持つ力を示して圧巻である。以前は100万円前後していたはずだが、リーズナブルな価格となっている。(執筆:広本伸幸)
ULAE(Universal Limited Art Editions※)制作。
※1957年にタチアナ・グロスマンによってニューヨーク州ロングアイランド、ウェスト・アイスリップに設立された、アメリカ現代版画を代表する工房の一つ。