機能を極限まで追求した結果、出現するある種の形があります。最先端技術を駆使した巨大システムやミクロの集積回路など、パターンとしての美しさ、機能美を実現します。ゾーン[区域]は、そんな中でも電波というものを媒介として、都市的、軍事的役割をつかさどるアンテナ(空中線)をテーマにしました。 広大な土地、区域にはりめぐらされるアンテナは、形状と美しさの危険な饗宴です。
通信ネットワーク(携帯電話やインターネット)は現在日常的に個人がその恩恵を享受しています。しかし米ソの冷戦時代は軍用民用を問わず重要な内容の通信には、高度なセキュリティー確保が問われていました。おもに軍用目的のアンテナは非常に巨大であることが様々な意味でリスクを増大させたのです。そのリスク回避の解決を考えた結果、蜘蛛の巣状多重通信システムが現在の情報インフラとしてのインターネットです。冷戦時代に開発されたこれらの巨大なアンテナ群がインターネットと衛星通信の発達で歴史の遺構になる日がくることでしょう。
本作の解説:
沖縄の読谷村にある米軍のアンテナです。第2次大戦でドイツが軍事通信諜報用に開発したもので通称『象の檻』と言われています。この時の撮影はピントグラスが割れてしまいセロテープで補修していました。いまだにひび割れた光景が心に焼き付いています。
(株式会社ニコン ウェブギャラリー内 サイトページより抜粋)#script tag escaped#flgDispRecommend=false;#script tag escaped#