“Hello World (B)”はINDEPENDENT TOKYOの展示で発表された山口の “Hello World” シリーズの作品です。Hello World 4連作の中の一部で淡いピンクを基調とした柔らかな色彩が特徴です。
“Hello World”は改造された掃除ロボットが絵画を描くシリーズです。絵の具を垂らすドリップユニットを装着したロボットは、自動的に絵を描き続けます。山口は色彩の選択をし、絵画の始まりと終わりのボタンを押すのみで作品を完成させます。作品は作家自身の作品なのか機械の作品なのか、作家の肖像すら曖昧な究極的に抽象的な絵画となります。
山口は“Hello World”のシリーズを仏教でいう「空(くう)」のようだと語ります。「空」とはあらゆる物質や現象の最も抽象的な概念です。たとえば日本人を抽象化させると、日本人は人類、人類は生物、生物は有機物、有機物は物質、物質とは存在、存在とは有、有とは空。となります。しかし空は「有」のみではなく、空は「有」と「無」を抽象化した概念となるのです。“Hello World”は機械という虚像と山口という存在を抽象化させた「空」のような作品と言えるのです。