かわいい自画像 でも複製可能なクローン!?
楽しげでポップなかわいらしさを持ちあわせ、でも同時にどこか表情の欠けた人形のような少女にも見えるのは気のせい? アニメや漫画のキャラクターを思わせる登場人物。細川真希が「自画像」と呼んで描いているこうした人物は、背景として描かれる都市風景との組み合わせのなかで、多感なのに、何とも言えない空虚さドライさを一方で持っている、そんな不思議なバランスを思わせます。そういえば2008年6月に渋谷・Bunkamura Galleryで開かれた最新の個展、細川真希『増殖:真希モード』では、西洋の古典名画や浮世絵美人画をフェイクとして描き、ただしその顔が全部「自分」になっているという展示でした。「代わりはいくらでも」いるとでも言わんばかりの、そんなキャラクターの中にあるバーチャル感に、エヴァンゲリオン世代のニュー・アーティストという印象を抱かせられます。こちらの作品は、ポストカード大の紙に色鉛筆やペンで描かれたオリジナルドローイング、2007年のものです。(2008.8.27)