IDEAシリーズ2枚目の絵、
この作品も光る瀧の瞑想から着想し、オーロラの写真を見て瞑想状態を思いだしつつ、現れて来た画面を受容する過程で完成した絵です。
IDEAシリーズ制作過程で参照した画家の一人に
アメリカ抽象表現主義の画家モーリスルイスMorris louis がいます。
彼は狭い自宅の台所で妻が出勤中に台所より大きなキャンバスに描いて、その制作現場を見た者は居ないミステリアスな画家です。
日本では村上春樹の小説の装幀画でも有名です。透明なアクリル絵具を流し込む様に滲ませた不穏で繊細さとダイナミックさを持つ精神性の深い絵画。
「描く時に何処で止めるかが重要だ」という彼の言葉が特に印象に残り、制作中に念頭に置いてIDEAシリーズを描きました。
IDEA Blue veil は描き過ぎた層を一度全部洗い流して、もう一度調整して完成。
この景色は惑星の様でもあり、光る波の様でもあり、何処かわからない場所の感覚が瞑想的です。
※今回の作品掲載を機会に、オンラインサービス「note」に美術エッセイ
「抽象絵画再考」の連載を始めました。以下のアドレスからお読み頂けます。
抽象絵画再考|TartarosJapan/日乃谷 啓 @tartarosjapan #note https://note.com/tartarosjapan/m/m8f7776978062
本作が展示された個展「IDEA」コンセプトテキスト
TARTAROSJAPAN個展 観想―イデア
自然や日常の視覚と個人の精神的体験を密接に捉えようとした近代美術から、人間と社会の分析や関係性を様々に捉える現代美術へ美術は変化して来ました。その歴史の狭間で抽象絵画はスピリチュアリティを拠り所にカンディンスキーや近年再評価が進むヒルマアフクリント等の先駆者によって20世紀初頭に開拓されました。TARTAROSJAPANは、スピリチュアリティに基盤を置く先駆者と同様に、自己の瞑想体験を元に絵画表現に取り組んで来ました。それ等は幻覚的イメージを抽象化した様な、現実と夢の狭間にある領域を探求しているようです。
個展では瞑想時に現れるビジョンを(観想=IDEA) として捉えた、抽象新作絵画シリーズで構成されます。
科学文明が置き去りにした、スピリチュアリティを現代美術の最前線に再び提示する試みとなります。