近年取り組んでいるオリジナルのモチーフである"PUNKUMA"シリーズです。PUNK+KUMA=PUNKUMAは、カウンターカルチャーの力を得て立ち上がった、世界と対峙するテディベアの肖像です。タイの涅槃像のようなポーズは、「無もなく、空もなく、ただそこに在る」という、まさに仏教の言葉から着想を得ています。しかし、いざ目に飛び込んで来るものは何とものんきで間の抜けた寝転んでいるくまのぬいぐるみです。その哲学的、彫刻的である大仰なテーマと、実際に見えるギャップに焦点をあてています。「ぬいぐるみの彫刻」ということも重要なコンセプトであり、ぬいぐるみを制作した後、くまのふわふわ感、毛の抽象的な形体をプラスチックに置き換えていますが、ぬいぐるみの醍醐味である、そのやわらかさを抱きしめたり、一緒にお出かけしたり、眠ったり、リアリティを持って「愛でる」ことが、固く冷たいこの作品ではそれらはすべて叶わない、というところが翻ってチャームポイントとなっています。