私は「ギミック」をテーマに作品を制作しています。
私の作品はよく「写真で見ると描かれている対象がはっきりと見えるが、肉眼で見るとぼやけた抽象的な絵に見える」と言われます。
これは偶然ではなく、描く対象をデジタルで色分解し、色の網点を手描きする事で、不揃いな色の集合体がぼやけた幻影のように見える仕掛けを絵に施しているからです。
はたして写真に写るものは肉眼で見えているのだろうか?
これは事実にかかわらずメディアから流れてくる情報だけで先入観を持ちやすい人間の本能に警鐘を投げかけています。
私は作品と向き合う行為を通して、「見る」ことが存在の確認になり得るのか、あるいは「見える」ことが存在の確認になり得るのかを皆さんに問いたいのです。