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  • Slapstick II
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Slapstick
 2020年4月、「新型コロナウイルスの感染拡大は、グローバル化がその一因となった。」との報道を目にした時、私はその時まで感じていた「違和感」の正体を理解した。私は長年、「私たちは『豊かさ』と『リスク』を交換しているのでは無いか、」という疑いを持っていたのだ。
 だが、同時に私は、現代という時代を生きてゆく為には、程度の差こそあれ「豊かさとリスクの交換」に、関わらずに生きてゆく事は不可能だろう。とも考える。
 恐らくその為に、共同体は、それに関わる「疑い」を秘匿し、その事を認知させにくいようにデザインされている筈だ。そして、そこで暮らす個々人も、相互補完される「日常」という概念の奥深くへ、その「疑い」を隠滅させる事で、互いに共同体の成員としての統合を深めているのでは無いか、
 コロナ禍の中、私はそのような疑念に取り憑かれ、それを作品化したいと願った。そうして夏の少し前に、それには「バナナの皮」が最も適している。ということに気がついた。
 巨大な「バナナの皮」は、そのサイズに見合う巨大な存在の転倒を暗示する。2020年の終わり、私は2m前後の「バナナの皮」を完成させ、作品のタイトルを「Slapstick(スラップスティック)」=「喜劇映画」とした。

Slapstick II

Slapstick II

Shinji Mitsuzuka

作品本体価格Sellng Price(Artwork)
¥ 5,030,000
額装費Framing Price
¥ 0
消費税Tax
¥ 503,000
合計金額(税込)Total(include tax)
¥ 5,533,000

More Details

FRP アクリル塗料

FRP Acrylic paint

証明書Certificate of Authenticity
タグボート発行証明書ありExist
サインSignature
あり Yes
EDITION
オリジナルunique piece
制作年Year of Creation
2021年
サイズSize
76x 110 x210cm
作品の状態Condition
良好good
額仕様Frame Specification
なしnothing
額寸Frame Size
x x cm
納品期間Shipping Time
受注生産・納期半年程度a half year
特記事項Notices
※76x110x210cm、台座はつきません。作家都合により2021年10月ごろのお届けとなりますので、ご了承ください。76x110x210cm
作品IDItem ID
63294

Profile

1974年生まれ。高校卒業後、スキーパトロール、ライフガード、メッセンジャーなどの職を経て、1999年東京芸術大学先端芸術表現科に油絵科受験にて入学。
在学中より子供番組の放送作家として映像関係の仕事に関わる。
その後、雑誌編集者、テレビ局ディレクターを経て、2016年に千葉県鴨川市に工房を設け、サーフボード制作技法を応用した作品制作を始める。

2018年 公募展 池袋アートギャザリング IAG AWARDS 2018 準IAG賞
2018年 公募展 Independent Tokyo 2018 入賞 審査員特別賞
2018年 グループ展 KENZAN2018展
2018年 グループ展 上海 Shun Art Gallery
2019年 グループ展 伊勢丹新宿 アートのチカラ展
2019年 グループ展 銀座GALLERY ART POINT Dimension2019展
2019年 公募展 南青山スパイラル SICF20
2019年 公募展 Independent Tokyo 2019
2019年 グループ展 伊勢丹新宿 アートのチカラ選抜展
2019年 PARK HOTEL TOKYO 作品展示販売
2019年 グループ展 KENZAN2019展
2019年 公募展 UNKNOWN ASIA Art Exchange Osaka 2019

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Statement
 DELIRIUM(デリリウム)=譫妄(せんもう)
幻覚妄想を伴った意識混濁の状態。

 私の作る作品はサーフボードの制作技法を元にした平面作品です。私はその作品シリーズをDELIRIUMと名付けています。

 現代のサーフボードは1960年代から70年代にかけてアメリカ西海岸を中心に開発されました。多くの技術革新が同時期に起こり、サーフボードはより軽く、扱い易く、スピードの出るものへと改良され、カラーリングの面ではサイケデリック・ロックのレコードジャケットや、カウンターカルチャーの精神性の影響を受けながら、サーファーの個性を彩ってきました。
 DELIRIUMはこのカラーリングの技法を抜き出し応用したものです。60年代のカウンターカルチャーは音楽やファッションの市場の中で、流通する商品を通じて社会批判の精神を広めてきました。それは西洋的価値観を最大限に反映させたアメリカ型社会システムに対する調整を求めた運動でした。その中で一部のグループは西洋思想を相対化する為の外からの視座を求め、東洋思想を発見しました。
 極端な切り分けをすれば「個々人が幸福の最大化を目指すべき。」とした西洋思想に対し、「社会全体の幸福が達成されなければ個人の幸福も真に達成されることはない。」としたものが東洋思想であると私は考えます。

 かつては、「世代を追うごとに社会はより良くなってゆく」という幻想、あるいは実感によって社会は統合されていた筈ですが、アメリカ型社会システムがグローバル化と名を変えて世界の全てを覆ってしまって以降、そのような統合はもはや失われたと感じています。
 私は、アメリカを象徴するマテリアルでもあるプラスチック樹脂によって、サイケデリックなイメージの中に東洋思想の線を描き出したいと考え、DELIRIUMを制作しています。