ケリー・レイボウィッツはNYを拠点に80年代よりCandyass名義で精力的な活動を展開しているアーティストです。
コーヒーカップやテディベア、サッカーボール、お皿、ごみ箱といったかたちで表現されたマルチプル作品は彼を代表するスタイルとして知られており、彼の文化に対するキッチュでユーモアに満ちた引用は、奔放かつヴィジュアル的なインパクトによって作品としてのアイデンティティとペルソナを獲得しています。
レイボウィッツの作品においては、ポップ・カルチャーはハイ・カルチャーと衝突し、ユダヤ人としてのアイデンティティはキッチュなものへ、しかつめらしい政治的スローガンはナヨナヨしたゲイ的なものへと変換されてしまいます。こうした彼の作品は、モダニズムとポップアート、デザイン、広告などの各側面を融合し、美術史や文化、宗教的ステレオタイプに対してユーモラスな観点を提示してるといえるでしょう。
“I love Lichtenstein”、“I love Robert Rauschenberg”などのメッセージが書かれた本シリーズは、すべてオリジナル作品、インテリアとしても魅力的なばかりか、スターの座を確立した巨匠たちに対するユーモアあふれるオマージュともいえます。