Q:元々はグラフィックデザインの仕事をなさっていたそうですが?
Q:そうした疑問が自分の作品をつくるきっかけに? A:そんな時に自分、個人で何ができるかなと思って、今回出品するマルチプルのブリスターコレクションの前身となる作品をつくったんです。空箱にオリジナルのキャラクターをデザインした作品で、外見(キャラの載った箱)だけでどれだけ魅力的なものになるか試したんです。その時期GEISAIが開催される時だったので、発表してみようと思ったのがきっかけでした。 Q:そこには消費社会に対する問題提起や皮肉は含まれているんですか? A:とくに反感があるという訳ではないです。ただ中身が大切なのか外見が大切なのか、本当はどっちが大切だったのかということをちょっとでも言えたらという気持ちはありますね。 Q:マルチプルをテーマにした作品をさらにマルチプルで製作した今回の作品は、美術やアートにあまり詳しくない人にとっては、これがアートなのか、プロダクトと何が違うのかと困惑すると思いませんか? A:僕もどちらかと言うとアートを知らない人間なので、作家っていう意識もあまりないんですね。ただ作品を見て純粋にかっこいいなと思ってもらうことが嬉しいし、それがアートなのかそうでないのかはあまり問題ではない。消費者=鑑賞者が「これはカッコいい」とか、「カッコ悪いな」とか素直に反応できる、気持ちとか本能みたいなものの方が大切じゃないかなと思います。 Q:作品の台紙に「キャラクターについてのシチュエーション、国籍、性別などは見る人の想像にお任せします」と英語で書かれていますが? A:例えば美術でいうと、モナリザにストーリーがある訳でもないし、そういう考え方をすると逆に広がりが持てるんじゃないかなっていうのと、それぞれ見る人に感情移入してもらった方がおもしろいと思っていて、僕が提供するのは外の部分だけでいいんじゃないかなって。 Q:キャラクターが物語に縛られていないわけですね。中身を詰め込むのは見る人ということですか? A:はい、そこまでで一つの作品だと思うんです。作品を見て「このキャラクターはどういう人物なの?」って聞かれることがある一方、すでに自分でオリジナルのストーリーをつくっている人の方が多くて、そういうのを聞いて、あまり自分で設定をつける必要はないって逆に教えられました。今回出品する作品は、マルチプルならではの、おもちゃっぽさを強調しています。マルチプルならではの作品ができたんじゃないかと思います。 Q:アジアでの展覧会が多いですが、海外での反応は? A:海外の方がストレートな反応ですね。マンガとアートを日本ほど分けて考えていない。中国や台湾でも日本のマンガやアニメを見て育った人がたくさんいて、例えばマジンガーZを見て育ったとか、自分の国のものみたいに思っている。マンガとアートの境目なく素直に見てくるのがいいなと思いました。 Q:今後はどのような展開を考えていますか? A:まだ本当に入り口にやっと立ったって感じなので、意外と大変だなって(笑)。今後は立体(フィギュア)作品もやっていきたいと思っています。いろいろなことを試していきたいです。老若男女関係なく、欲しいな、いいなと思う人に観ててもらえる、そんな作品をつくっていきたいですね。 Profile松浦浩之 1964年東京生まれ。
主な個展
グループ展
受賞
出版
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