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ぼくはたまに日本から来る人を出迎えにスキポール空港にいく。
Arrival3は、アジアを含むEU圏以外からの長距離フライトの到着ゲートになっているので、そのゲート前には、オランダ人をはじめ、大勢のアジア人やアラブ人が、自分の家族や友人がゲートから出てくるのを待っている。ゲートは黄色と紫色で塗られていて向こう側は見えない。だからゲートの自動ドアが開くたびに期待に胸を躍らせながらドアから出てきた人に目を向ける。そしてその人を待ち望んでいた人が叫びながら抱きついたり、キスしたりして再会を喜んでいたりする。他の人もそんな光景を見ながら、ドキドキしながら待つ。ぼくはそんなこのゲート前の緊張感と期待感が入り混じった空気が大好きだ。
ぼくも6年前にこのArrival3に降り立った。ぼくの場合、オランダに誰一人として友人も知り合いもいなかったから、もちろん誰も待ってはいなかった。大きな荷物を持ってゲートを出て、出迎えの人々の人ごみを越えた辺りで、キャリアに積んだ荷物と、バックパックを置いて大きく深呼吸をして、「きっと大丈夫」と心で強く思ったのを覚えている。それから数日後、運良くすぐアパートは見つかった。リノベーションしたばかりの、なんにもないガラーンとした部屋にドカッと荷物を置いて、大きな窓を開けて外の風景を見ながら、ぼくはまた大きく深呼吸した。その日はとても天気のいい日で、眩しいオランダの光の中を沢山の鳥が飛んでいた。その鳥を見ながら「ほら大丈夫だった」と思ったのも強く覚えている。そうやってぼくのオランダ生活は始まった。
ぼくが待っている人がArrival 3から出てきた。その人達との再会が嬉しくて、姿が見えた瞬間に顔が笑顔になる。日本人なので抱きついたり、キスしたりはしないけど、嬉しい時の犬の尻尾みたいに手を振ってしまった。そしてその人達と一緒に電車乗り場に歩いていると、大きな荷物を持った明らかに旅行ではない、ここに移り住みに来たのだろうアジア系の若者が切符を戸惑いながら買っていた。一瞬すれ違った彼だけれど、きっと彼は6年前のぼくだ。モニターの前でオランダ語に緊張をし、コインを一枚一枚確認しながら投入していく。出てきた切符が二枚あるのが不思議でしょうがない。知らないことだらけで不安だろうけど、「きっと大丈夫」と彼を思いながら思った。
ぼくは7月7日でオランダ滞在7年目になる。なんか嬉しい。
2008.6.25



