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この連載では僕が考える「偉大な写真」を引き合いに出しながら、よろず諸々について考えて行きたいと思っています。
一年の連載が終わるころには、僕も皆さんも立派な写真家になれそうな気持ちになっている、そんな内容にできればと自分に期待しています。

「'06 4/19」
授賞式が始まる前の会場の様子
さて、春です。春といえば、ちょうど一年前の今頃、僕の生活を一変させた出来事から話を始めましょう。
去年、どういう風の吹き回しか、日本の写真界で著名な賞を頂きました。売れっ子の写真家がダメ押しのように受賞するのが事実上の慣例となっているこの賞で、僕の名前が発表された昨年は、多くの人が「誰?」「何故?」と戸惑ったはずです。僕自身、"賞"というものをもらうのは生まれて初めてで、まさに春の嵐でした。
この賞は写真を始めたときからの憧れでした。ノーベル賞を欲しいと思ったことはありませんが、この賞は欲しかった。だから授賞の連絡をもらったときは本当に嬉しかった。でも、ここに至る道のりは遠いものでした。

「'06 1/21」
受賞者恒例の木村伊兵衛の墓参り
作品を発表するようになってから十年余、個展をしても、写真集を出しても、ほとんど反応はありませんでした。作品はまるで売れないし、どこかに取り上げられることも滅多にありませんでした。
加えて、「君のような作品では無理」と言われ続け、ついには自分でもあきらめる決心をしました。長い間パトロンのように応援してくれた人に、約束を果たせなかった侘びを入れようと日取りまで考えていました。そんな矢先に、授賞の知らせが届いたのです。なんとも不思議なものです。
僕は写真の学校に行っていません。どこかのグループにも入っていません。だから話し合える先生も仲間もいなかった。ひとりで考え、ひとりで決断し、ひとりで撮影し、ひとりで売り込みに行きました。
そもそも似たような傾向の作品を発表している人さえ見当たらず、その心細さは、「次はあっちだ!」とみんなが右へ向かって走って行くときに、ひとりだけ離れて左へトボトボ歩いて行くような感じでした。ひと足ごとに自分は間違っているのではという不安が膨らんでいき、最新のシリーズは受賞の数ヶ月前に撮り始めたのですが、「これが最後かもしれない、どうせダメなら思いきり好きにやろう」と半ばヤケクソでした。
何年も僕の作品を丹念に見続けてくれた友人が受賞後に言いました。
「自分は写真家じゃないし、賞をもらった本人でもないけれど、あきらめずにやっていればいつかきっとご褒美があるんだなって心から考えられるようになって、自分もがんばろうと思った」
このひと言を聞いた時、賞をもらって本当によかったと思いました。
僕の受賞が、孤独に押し潰されそうになっている人に勇気を与えることができれば嬉しいです。
――というところで今回は前置きで終わってしまいました。本題はまた今度〜。
タカのリュウダイ/’07/04/01
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