※作品はトリミングをしております。 詳しくご覧になりたい方は画像をクリック ! この連載では僕が考える「偉大な写真」を引き合いに出しながら、よろず諸々について考えて行きたいと思っています。
さて、春です。春といえば、ちょうど一年前の今頃、僕の生活を一変させた出来事から話を始めましょう。 去年、どういう風の吹き回しか、日本の写真界で著名な賞を頂きました。売れっ子の写真家がダメ押しのように受賞するのが事実上の慣例となっているこの賞で、僕の名前が発表された昨年は、多くの人が「誰?」「何故?」と戸惑ったはずです。僕自身、"賞"というものをもらうのは生まれて初めてで、まさに春の嵐でした。 この賞は写真を始めたときからの憧れでした。ノーベル賞を欲しいと思ったことはありませんが、この賞は欲しかった。だから授賞の連絡をもらったときは本当に嬉しかった。でも、ここに至る道のりは遠いものでした。
作品を発表するようになってから十年余、個展をしても、写真集を出しても、ほとんど反応はありませんでした。作品はまるで売れないし、どこかに取り上げられることも滅多にありませんでした。 僕は写真の学校に行っていません。どこかのグループにも入っていません。だから話し合える先生も仲間もいなかった。ひとりで考え、ひとりで決断し、ひとりで撮影し、ひとりで売り込みに行きました。 何年も僕の作品を丹念に見続けてくれた友人が受賞後に言いました。 「自分は写真家じゃないし、賞をもらった本人でもないけれど、あきらめずにやっていればいつかきっとご褒美があるんだなって心から考えられるようになって、自分もがんばろうと思った」 ――というところで今回は前置きで終わってしまいました。本題はまた今度〜。 タカのリュウダイ/’07/04/01
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